世界一周をする際、「西回り」で行くか「東回り」で行くかという永遠の論争があります。

スターアライアンスやワンワールドの世界一周航空券を買う際にも、誰もが悩むポイント。

今回はこの論争に最終結論を出したいと思います。

西回りと東回り

西回りというのは、日本から西へ向かうルートのことです。東南アジア、インド、西アジア、ヨーロッパと進み、大西洋を渡ってアメリカへ、そして太平洋を渡って日本に戻ってくる。

東回りはその逆で、まず太平洋を渡ってアメリカへ飛び、そこから逆方向にたどって戻ってくるルートです。

結論

僕の結論は「西回り」です。

時差ボケしにくいから西回り、というわけではなく、一言で言うと、「世界の歴史と構造(世の中の仕組み)を最もクリアに掴める順番だから」です。

  • 支配を受けたが挽回しつつある国
  • いまだ格差に苦しむ国
  • それらの国を支配してきた国
  • 世界の覇権を握った国
  • 現在、覇権を握ろうとしている国

この順番で世界を巡ることで、それぞれの地域で見た光景や学んだ知識が有機的につながり、世界の解像度が上がる感覚が得られます。

具体的なおすすめルートを紹介します。

おすすめのルート

1. アジアNIEs

旅の始まりは、1970年代頃から急速な経済発展を遂げた「アジアNIEs」の国々からスタートするのがおすすめです。

具体的にはシンガポール、香港、韓国、台湾などです。

これらの地域は治安や衛生面の懸念が少なく、初めての海外旅行や旅の準備運動として最適です。

特に一押しはシンガポール。かつては日本を追いかける側の国だったのが、今や日本が追いかける立場になっています。この凄まじい経済発展の背景や変化を探るだけで、非常に面白い体験になります。

韓国も悪くはないのですが、日本から近すぎて、日本人観光客も多く、「外国に来た」という感覚が薄れてしまうのが難点。

2. ASEAN(東南アジア)

アジアNIEsの次は、まさに現在進行形で経済成長の真っ只中にあるASEAN(東南アジア)の国々へ向かうのがおすすめ。

ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアなどが候補に挙がりますが、僕の一押しはベトナムです。

フランスの植民地支配を受け、その後アメリカとのベトナム戦争によって発展が遅れたベトナム。今この国は、まるでリベンジするかのように、国を挙げて経済成長へと突き進んでいます。その熱気を肌で感じられるのが魅力です。

同じ理由でインドネシアも悪くありません。オランダの植民地支配を受けて発展が遅れ、今まさに国を挙げて成長を目指している。

ただ、食べ物の美味しさで言えば、ベトナムに軍配が上がります。「美食の国」フランスの植民地支配を受けたことが、食文化にも影響しているのかもしれません。

3. オセアニア

ここでいったん東へ戻り、オセアニア(オーストラリアやニュージーランド)へ向かいます。

なぜオセアニアなのか。実は、東南アジアの人々とオセアニアの先住民は、同じルーツを持つからです。約5万年前、そして約4千年前、人類は東南アジアから海を渡ってオセアニアへ移住していきました。

その後の欧米による植民地支配を経て、東南アジアとオセアニアは全く異なる歴史と運命をたどりました。その対比を学ぶのが非常に面白いポイントです。

なので、東南アジアとオセアニアはセットにして考えるのがおすすめ。

行きやすいのはオーストラリアかニュージーランド。あえて定番のオーストラリアではなく、ニュージーランドをおすすめしたいです。

理由は二つ。オーストラリアのような近代的な街並みを持ちながら、直前に訪れた東南アジアとの対比がはっきり感じられること。そしてもう一つ、約1000年前にカヌーで渡ってきた先住民、マオリの人々が今も暮らしていること。

シドニー経由でニュージーランドへ向かうことになると思うので、トランジットの際にシドニーを軽く散策することもできます。シドニー空港から市街地まではかなり近く、5時間もあれば十分に回れます。

4. インド

旅慣れてきたこの段階で、いよいよインドへと向かいます。勇気を出して。

インドの魅力(って言うと現地の人たちに失礼ですが)は、個人ではどうにもできない、運命づけられた貧困を目の当たりにせざるを得ないところにあります。

道端で寝ている人々を見て「彼らがこんな生活をしているのは自己責任だ」などとは絶対に言えません。この世界がいかに不平等であるか、この世界がいかに理不尽であるか、そしてその現実を前に自分がいかに無力か。これらを実感させられます。

直視するのは辛い現実ですが、この世界の現実を自分の目で見に行くために、インドは外せません。

5. 中東

少しハードルの高い旅が続きますが、次は中東です。

ここではイスラム文化圏のあり方を学ぶと同時に、個人の努力ではなく「地域そのものに運命付けられた格差」を突きつけられます。石油が出るか出ないかによって、国の運命がこれほどまでに分かれるのかという現実です。

おすすめはアラブ首長国連邦(ドバイ)エジプトです。

  • ドバイ:圧倒的なオイルマネーの凄まじさと、その華やかさの裏にある社会の歪みを体感できます。
  • エジプト:かつてピラミッドに代表される世界最高峰の文明を築いた国が、なぜ現在のような状態になっているのか、それを考えさせられます。中東とアフリカの双方の雰囲気を味わえる点も魅力です。

6. ヨーロッパ

ここまで、

  • 急速に発展した国
  • いままさに成長の真っ只中にある国
  • 同じように植民地支配を受けながらも近代的な暮らしを実現している国
  • そしていまだに絶望的な格差に苦しんでいる国

と、世界の様々な現実を目の当たりにしてきました。

「なぜ、これほどまでに国や地域によって運命が違うのか」と頭の中に疑問やモヤモヤが募ってきたこの段階で、いよいよ現在の世界のあり方や構造を形作ったとも言える、そしてこれらの国々を「虐げてきた側」であるヨーロッパに入ります。

インドや中東を通った後にヨーロッパに入ると、その圧倒的な豊かさに驚かされます。

しかし一方で、ヨーロッパは数え切れないほどの争いが起きてきた地域でもあります。2度の世界大戦の主要な舞台もここです。

これほど恵まれているように見える地域で、なぜ人々は争いを繰り返してきたのか。そして、争いを避けるために人類はどう試行錯誤してきたのか。その悲劇と教訓を学べるのがヨーロッパです。

ヨーロッパは一国一国が小さく移動しやすいので、何ヶ国か周遊するのがおすすめです。

王道どころとして、多様な人種・民族が集まるフランスのパリ、ヒトラーを生み出し東西に分断された歴史を持つドイツのベルリン、かつて世界の覇権を握り今も世界中から富が集まるイギリスのロンドン。この3都市を軸にするといいと思います。

余裕があれば、南と北にも足を伸ばしたいところです。南のギリシャポルトガルに行けば、同じヨーロッパでも豊かでない地域があることに気づきますし、北のスウェーデンデンマークに行けば、まったく違う社会の仕組みもあり得るのかと視野が広がります。

7. アメリカ合衆国

ヨーロッパの次は大西洋を渡り、移民が作り上げた国、アメリカ合衆国へ。世界一周のルートに、この国は欠かせません。

なぜこの国が戦後世界の頂点に立てたのか、国の強さは何に由来するのか、経済発展とは何か。それらを学べるのがアメリカです。

アメリカは広大でたくさんの都市がありますが、おすすめはニューヨークサンフランシスコ。この2都市は、発展の原動力がまったく異なります。両方を訪れることで、アメリカという国が持つ二面性を理解することができます。

8. 中国

ここまで西回りで世界を旅してきました。太平洋を渡って日本に帰ってきてもいいのですが、最後にもう一つ、中国に立ち寄るのを強くおすすめします。

中国はいきなり最初に訪れるにはハードルが高い国ですが、旅に慣れ、さらにアメリカを見た後に行くことで、非常に深い学びが得られます。

アメリカと今まさに世界の覇権を争う大国、中国。国を発展させる方法として、こういうやり方もあるのか、と考えさせられると同時に、「でもこれで国民全員が本当に幸せなのだろうか」、そんな問いも湧いてくる場所です。

まとめ

  • 支配を受けたが挽回しつつある国
  • いまだ格差に苦しむ国
  • それらの国を支配してきた国
  • 世界の覇権を握った国
  • 現在、覇権を握ろうとしている国

この順番で旅をすることで、それぞれの地域で見てきた光景や学んだことが、バラバラの点ではなく、一本の線として有機的につながっていきます。世界一周をするなら、僕は西回りをおすすめします。

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