なぜシドニーは飲食店が少なく、東京は多いのか?
2023年7月にオーストラリアのシドニーに行ってきました。
観光する中で、日本(東京)とシドニー(オーストラリア)の違いについて思ったことがいくつかあるので、何回かに分けて書いていきたいと思います。
シドニー滞在で困ったこと
シドニー滞在で一番困ったのは、ご飯を食べる場所の選定でした。
朝と昼はカフェレストランでサンドイッチなどを食べればいいのですが(それでも食事とドリンクで20豪ドルくらいするけど・・・)、夕食が困りました。
個別のテーブルが用意されているタイプのレストランで食事をするとなると、余裕で30豪ドルはかかります。50豪ドルでも普通。何品か頼んだら100豪ドル近くかかってしまいます。
しかし今回話をしたいのは、レストランの物価のことではありません。
手軽に安く食べられる食事のレパートリーがシドニーはとても少ないという話です。
シドニーにはカフェレストランやちゃんとしたレストラン、大勢で立ち飲みしているパブのような店はたくさんありますが、例えば日本の吉野家のような丼物のチェーン店(手軽な食事の店)は全然ありません。
ガストやロイヤルホストのようなファミレス的な場所も確認できませんでしたし、日本の駅にあるような「いかにも冷凍パン生地を使っていそうなパン屋」もないように感じました。ちなみにスターバックスも少ない。
東京と比べると、シドニーは手軽に安く食事をできる場所が明らかに少ないです。
これは東京では感じなかった不便でした。
東京にいると、数あるレストランの中から「今日はどこで食べよう?どこでもいいんだけど・・・」って悩みます。選択肢の多さで悩むのです。
しかしシドニーは逆。選択肢が少なくて、どこもイマイチに感じてしまって悩むことが多かった。
なぜシドニーは飲食店が少ないのか?
日本に帰ってきてから、なぜシドニーは飲食店が少ないのかを調べてみました。
すると、決してシドニーの飲食店の数が少ないわけではない、ということがわかりました。
シドニーの人口は約500万人で、レストランの数は約19,000です(レストランの数のデータは2014年のものなのでちょっと古いですが・・・)。
ニューヨークは人口850万人でレストラン数は約26,000、ロンドンは人口900万人でレストラン数は約15,000。
他の先進国の大都市と比べてみても、決してシドニーが特別だというわけではないのです。ちなみにこれらのデータは「number of restaurants」で検索すると見ることができます。
むしろ東京にレストランがありすぎる
特別なのはむしろ東京の方でした。
2020年のデータによると、東京の人口は約1,400万人でレストランの数は約135,000。東京のレストランの多さが異常だったのです。
これはシドニーに行かなかったら気づかなかったことでした。
確かに、東京にいると何を食べるかで困ることはほとんどありません。いろんな価格帯の飲食店が至るところにあるからです。
シドニーで感じた不便は、僕が東京に住んでいたからこそ感じたものだったわけです。
ではなぜ東京にはたくさんのレストランがあるのでしょうか?
確かに東京の人口は多いですが、だとしてもレストラン数が多すぎです。
この理由について、僕は「東京(というか日本)は他国に比べて人件費が低いので、薄利多売な飲食業ビジネスが成立しやすく、参入が多いから」という仮説を立てました。
おそらく普通は、人の値段(人件費)が高い先進国では飲食店の数はそんなに多くならないのだと思います。
なぜなら儲からないから。先進国では人件費が高いので(労働党の力が伝統的に強いオーストラリアはそれが顕著)、手軽な飲食店のような単価の低い薄利多売な形態の非効率なビジネスに参入する人が少ないのでしょう。価格の高いレストランならともかく。
一方、人件費が安い新興国では飲食店が多くなりがちなのかもしれません。
コストが低く利益を出しやすいので。何かビジネスをしようと思った時に、普段の生活で必要なスキルを活かせる飲食業は手っ取り早く始められる、という理由もあると思います。
そういえば2022年12月にベトナムのホーチミンに行った時に、飲食店がたくさんあるなと感じていました。
つまり、東京は人件費が低く、先進国の大都市らしからぬ都市だ、ということです。
コンビニも含め、フランチャイズも多いですよね。
ちなみに同じく人件費が低いソウルの人口は約950万人でレストラン数は約125,000。東京と同じくらいの水準です。
同じアジア圏ということで、地理的・文化的な要因もあるかもしれませんが(アジア系の人は外食をしがちだけど、欧米人は仕事後にさっさと家に帰って自宅で食事をとる?)、人件費が低い先進国ではレストランの数が多くなりすぎる傾向にあるのかもしれません。